網
こんにちは。或爺です。
ただいま、明日の「破天荒 瞬花祭特集号」の印刷に向かって作業をしていたところであります。
今号にも様々なタイプの才能が溢れていて、編集作業をしていてとても幸せです。
ところで近頃、空気の匂いが変わってきたように思います。小学生の頃の「もうすぐ夏休みだ」という気分を非常に刺激する匂いがします。緑色の虫カゴが欲しいです。青いアミはどこですか。
あ、ありましたありました。青い虫取り網が玄関の傘立てに挿してあります。靴棚の上にプラスチックの虫カゴも置いてあります。
「どこ行くの」
「タコ公園」
「あんまり遅く帰ったらいけんよ」
「わかった」
「よう」
「おう」
「今日なんかカード持ってきた?」
「いま、ケンとヒロくんとレアカード交換しよるんよ」
「今日カード持ってきてない」
「じゃあいいや」
「今度キラキラのやつちょうだいよ」
「やだよ」
「今から何するん?」
「この石垣の上登ってみらん? なんか、この前ショウ兄ちゃんたちも登ったんやって。野イチゴとか生えとったって言っとった」
「でもここすごい草生えとるし、茂みの中をくぐるしかないやん、変な虫とかおらん? 気持ち悪い」
「みんな登っとるき大丈夫っちゃ」
「たしかに木の実は生えとるけど、これ野イチゴやないんやない? 赤いだけで」
「すごい静かやな、でっかい家がいっぱいあるけど、全然人がおらん」
「あ、人おるやん」
「どこ?」
「あの窓んとこ、おじさんおるやん」
「どこ?」
「あ、ほんとや」
「こっち見とる」
「お前、指さすなよ」
「帰りも茂みしか通るとこないんやな」
「お前、茂みの中滑るだけですごい怖がっとったな」
「別に怖がってないし」
「石垣の上、別に面白いことなんもなかったな」
「ぼろい家が建っとるだけやったな」
「あ、ブランコ空いとるよ、乗ろうや」
「オレ空見ながら漕げるし」
「おれ一回転できたことあるよ」
「俺手放しでこげる」
「なんかさ、入口のほうに人おらん?」
「金網んとこ?」
「なんか見られてない?」
「どこ?」
「あ、ほんとや」
「こっち見とる」
僕たちががうるさくしよったけん怒ったんかなあ。